*この記事は弊社ドットコネクトの学生アルバイトに配信している「気まぐれ社長コラム」の内容(2024年9月24日)を抜粋して掲載しております。
前回は、自分の中に揺るがない軸、格、芯のようなものを持つことと、その1つの観点として自分のルーツを知ることの大切さを伝えた。
今回は逆に、揺らぐこと、つまり変化していくことの大切さを伝えたい。一見すると矛盾する話のようだが、実は矛盾しない。
世の中は常に変化している。あらゆる出来事に影響され、人々の価値観は変化する。また、自然災害なども起こるから、否が応でも自分の周りは変化していくのがこの世の中における絶対的な事実なのだ。
その中において、自分自身が変化できないとどうなるか。当然、生き残りが難しくなる。
建物を例にとってみても、地震などによって強い揺れが発生すると、硬くてまったく揺らがない建物と、ある程度の柔らかさを持っている建物では、どちらが倒壊リスクが低いだろうか。
一見すると硬くて丈夫に見える建物も、実は横揺れに弱かったりする。簡単にポキンと折れてしまう。
一方で、建物自身がある程度揺れて、揺れを逃がす構造の建物は倒壊しなかったりする。
人も同じで、まったく融通の利かない頑固者や、変化することを拒む人たちは、社会の変化に適応することができない。
私生活では心が荒んでいったり、ビジネスの世界では衰退していったりしてしまう訳だ。
変化する環境に合うように自分自身を適応させていく柔軟さが大切なのだ。時代の半歩先を行くくらいの感覚だ。
もちろん、変化していくには、未知なものを受け入れたり、新しいことを勉強したりと、それなりにリスクやエネルギーやストレスやお金がかかることもある。
よって人間には少なからず、変化を無意識に嫌う「現状維持バイアス」というものが心理学的に備わっている。
しかし、産業革命以降、情報革命、さらにはAI革命によって、これまで人類が歩んできた歴史の中で、これほど急速に、高頻度で社会にイノベーションが起きて変化している世の中は初めてのことなのだ。毎日のように社会を変えるイノベーションが世界中のどこかで起こっている。だからこそ、これからは変化しないことのリスクの方がよほど高いと言える。
しかし、揺るがない軸と、変化していく柔軟さ。この矛盾をどう捉えればいいのだろうか。
僕が大事にしているのは「不易流行(ふえきりゅうこう)」という考え方だ。
これは、いつまでも変化しない(あるいは変えるべきでない)本質的なものはこれからも変えずに残しつつ、時代に合わせて変えていくものは変えていこうということだ。
僕はこの考え方が好きだ。
会社で言えば、その会社の創業の理念、その会社らしさや成し遂げようとしていることみたいなものは変えるべきでなかったりもする。しかし、時代の変化に合わせて、目指すべきビジョンを変化させたり、商品を進化させたり、顧客への対応の仕方を変えたり、SNSによる発信を行なったり、組織をいじったりすることは当然必要なことなのだ。
政治でもそうだ。僕は左翼が嫌いで、保守派だと自分では思っているが、それはなぜかというと、左翼は変えるべきでないものまで変えようとしてくるからだ。僕は、日本の国体とも言える部分(これはまた折を見て取り上げるかもしれない)や、優れた部分は残しつつ、それらを守り抜くために変えるべき部分(例えば日本国憲法など)は変えるべきと考えている。
今は自民党総裁選の真っただ中だが、「変革」とか「改革」などと言う言葉が飛び交っている。「不易流行」に照らし合わせて、この国において変えるべきでないものまで変えようとしていないか、何を守ろうとしているのか、同じ自民党内でも候補者によって全く異なっている。
変化は大事だが、なんでもかんでも変えればいいものでもない。
君たちの人生においても、変えたくない軸のようなものがあるといい。一方で、それを大事に守り抜くためにも、積極的に自分自身の心の持ちようや行動は時代に合わせて変えていくべきなのだ。軸があるからこそ、変化させていくべきものが何か、瞬時に判断できるようになったりする。
「最近、自分の生活が変わり映えしないな」「あ、最近の俺(私)、あんまり進化できてないな」などと自分を客観視できれば、「もう少し意図的に変化を取り入れてみた方がいいかも」とか、「今はあまり変えるべきタイミングではなそうだ」などと、自分の心と向き合って決めることができたりする。
変化と言っても、小さな変化でもいいのだ。いつもと違う道から帰ってみるとか、行ったことのないところに行ってみるとか、店員さんにお礼の言葉を伝えてみるとか、本を読んでみるとか、朝掃除してみるとか、料理してみるとか、ゴルフのスイングを少し変えてみるとか、なんでもいいのだ。そこで新たな発見もあるだろう。
要は、自分を常にリフレッシュさせる習慣を取り入れることが大切だ。
P.S.僕は、老人になっても自分自身に変化を起こし、社会の変化にできる限り適応し、それを楽しめるようになりたいと思っているし、そうすると決めているのだ。
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